フロアコーティングのヒエラルキー(階級)において現在最も上位に君臨するのがガラスコーティングです。もしそのようなものがあるとすれば・・・・・・ですが。その一番の特長は塗膜硬度がフロアコーティングに使用される塗料のなかでは最も硬いということです。硬いということは傷がつきにくく、磨耗が生じにくいということにつながります。

価格がもっとも高いガラスコーティング。じっさいに価格に見合うものなのでしょうか。じっくりとその性能を項目別に解説いたします。

他フロアコーティングと比較したガラスコーティングの特徴やメリットはこちらをご覧ください。

ガラスコーティングの性能評価

各項目を5段階評価で表しています。

総合評価・・・・・・ ★★★★☆(平均4.3点)

どんなご家庭に合うか

  • やんちゃ盛りのお子様がいる
  • ペットを飼っている
  • 高価格でもとにかくいいものが欲しい

概要

フロアコーティングに求められる高い床保護効果と安全性。その両方を兼ね備えた塗料がフロアコーティング業界では捜し求められてきました。そういったなか最近富に増えてきたのがガラスコーティングです。

ガラスコーティングは一種のシリコーン塗料なのですが、とくに形成する塗膜硬度の高いものが無機系ガラス塗料とされ、フロアコーティングでは利用されています。

フロアコーティングではシリコンコーティングと分類される種類のフロアコーティングもあります。違いは塗膜硬度と溶剤にあります。

ガラスコーティングは塗膜硬度が※鉛筆硬度試験において8H前後となります。シリコンコーティングの5H前後と比較してさらに硬い塗膜を形成します。

溶剤はアルコール系有機溶剤のものが多いです。(一部、石油系溶剤のガラスコーティングも存在します)シリコンコーティングでは石油系有機溶剤がほとんどです。アルコール系溶剤のガラスコーティングは施工後の臭気に刺激性が少なく非常に穏やかなものになります。

※この記事ではアルコール系溶剤のガラスコーティングについて評価しています。(2016年9月23日 追記)

初期のガラスコーティングでは現在のものよりも一層硬い15Hなどという硬度をもつものもありました。ところがあまりにも硬いためフローリングへの追従性に乏しく問題が生じました。

ある程度の柔軟性を持ち合わせないとフローリングの動きについていけないのです。結果として剥がれたり、割れたりといったトラブルのため廃れてしまいました。現在の改良されたガラスコートではこのようなトラブルは聞かなくなりました。

※鉛筆硬度試験とは
鉛筆硬度とは鉛筆の芯の硬さを表す「B」や「H」といった表示に由来します。表面を3Hの鉛筆で引っ掻いて傷がつくかどうかを試験した結果で、鉛筆硬度3Hとか9Hなどと表現されます。鉛筆硬度試験方法は日本工業規格(JIS K 5600)で規定されています。

床保護効果

(傷・磨耗の防止効果)・・・・・・ ★★★★★

フローリング表面に形成する塗膜の硬度がフロアコーティングのなかではもっとも硬い。ということは傷や磨耗が生じにくいということにつながります。

(経年劣化の抑制)・・・・・・・ ★★★★☆

日射や乾湿によるフローリングの劣化を抑制する効果についても優れた性能を発揮する。ただし、この分野では塗膜硬度はさほど関与しないので水系ウレタンコーティングなど、他コーティングと変わりません。

汚れ防止効果

(マジックなど)・・・・・・ ★★★★★

マジックやクレヨンなどで子供がいたずらしても比較的キレイに落ち色が残らないことが多い。色素は粒子が細かく染みになりやすいのですがガラスコーティングはフロアコーティング・トップレベルの汚染防止効果があります。

(黒ずみ)・・・・・ ★★★★★

フローリングは手垢、皮脂、油膜などで黒ずんでくるがガラスコーティングは非常に汚れ落としが簡単になります。

耐久性

(寿命)・・・・・・ ★★★★☆

少しずつは傷つき・磨耗しますが長期間に渡り床を保護し続けます。目安としては子供2人の4人家族で15年前後は良い状態を保ちます。

美観

(艶感・質感)・・・・・・ ★★★★☆

比較的薄い塗膜のためUVコーティングのようなテカテカとした光沢にはなりません。好みが左右しますがフロアコーティングのなかでは普通の光沢感です。

滑り防止効果

(足元のグリップ感)・・・・・・ ★★★★☆

柔軟な塗膜のほうが滑り防止効果につながりやすい面があります。ガラスコーティングの硬い塗膜は初期のグリップ感はほどほどですが、摩耗が生じにくいのでその状態が長く続くことになります。ペットの滑り防止として効果的です。

安全性

(臭気)・・・・・・ ★★★★☆

フロアコーティングに使用される塗料はホルムアルデヒドにおいてはF☆☆☆☆(エフフォースター)の認定を受けているものがほとんどです。建築基準法において無制限に使用してよいというお墨付きを得ている塗料ということになります。シンナーのような揮発性の刺激臭はまったくありません。

床材との相性

(突き板フローリング)・・・・・・ ★★★★★

密着性がよく推奨できる。

(シートフローリング)・・・・・・ ★★★★☆

シートフローリングはガラスコーティングがもっとも美しく見える床材のひとつです。

(無垢|塗膜性仕上げフローリング)・・・・・・ ★★★★☆

密着性には問題ないが無垢材の場合は塗料の吸い込み量が多いため塗膜が薄くなる傾向があります。

再施工性

(リコート)・・・・・・ ★★★☆☆

剥離剤などによりガラスコート塗膜を溶解して除去することはできませんが、重ね塗りすることは可能です。

工事価格

(価格)・・・・・・ ★★★☆☆

性能に比例してもっとも価格が高いのがガラスコーティングですが、費用対効果でいうと十分に見合うといえます。

まとめ

ガラスコーティングは現在のフロアコーティングの中ではもっとも高性能なコーティングです。とくにまだ幼いお子様がいらっしゃるご家庭やペットを飼っているご家庭にはお勧めです。

高い床保護効果や床汚れ防止効果がお子様のいたずらやペットの粗相からフローリングを守ってくれることでしょう。

ただし、その高性能を過信するのは禁物です。フロアコーティングの会社によってはガラスコーティングを無機質もしく無機系だからその他の有機塗料とは性質が異なると説明するところがあります。

無機質というのは鉱物のように腐食したり、他の物質に侵されたりしないということです。たしかに、主成分の原材料を遡っていくとケイ素になります。ケイ素は無機といえますがあくまでも加工前の姿です。無機質もしくは無機系だから「汚れが付着しない」とか「変質しない」という説明は間違っています。

あたかも全く革新的なフロアコーティングかのような錯覚を覚えてしまいます。優れたフロアコーティングではありますが、そのような別次元のフロアコーティングとまでは言えません。

あまりにも過剰な広告を行う会社が多いのでご注意を申し上げましたが、別次元まではいかなくとも最高峰の性能をもつフロアコーティングには違いありません。新築のフローリングなら当社としてももっともお勧めのフロアコーティングです。当社のガラスコーティング「フロアガラスSi」はこちらからご覧ください。